場所は千葉県香取郡の神崎町。利根川堤がすぐ先に広がる小さな町の商店街に
「寺田本家」はあります。
現在、寺田本家では醸造用アルコールを一切使わない純米酒しか作っていません。
自然界に生育する乳酸菌の力を借りて仕込む酒造りの技法である「生もと造り」という伝統的な方法です。
現在販売されている日本酒で生もと造りで作っているものは全体の1%にも満たないとのこと。
日本の酒造りは明治時代後半から速醸という乳酸を添加し、酸性にすることで酵母の育成を早くする方法が広まり、乳酸菌を自然に繁殖させる従来の生もとという方法はすたれていきました。
寺田本家でも自然酒造りに変えたときには、この昔の方法で作った経験がある人はすでに誰もいず、試行錯誤で始めたそうです。
無農薬の米は米代だけでも一般の3倍以上します。人手と時間がかかる生もと造りでは大手の10倍ぐらいの原価がかかっています。 宣伝費や営業費をゼロにすることと、わかってくれる人だけに売ることにしたそう。
この自然発酵の道にどっしりと乗った生命力あふれる寺田本家のお酒たち、頭でおいしいと感じるよりも体が断然喜びます。スーーと体になじむ感じ。
寺田本家のお酒3種類、それぞれのその酒粕とその使い方を少し紹介します。ほかの豊富な使い方は、コタン店内のチラシで案内しています。
↑ 純米酒 「五人娘の酒粕」 500g 387円 ※冷蔵販売 要冷蔵
自然酒「五人娘」または「90香取」の酒粕です。寒仕込みに入り、新酒をしぼりはじめる毎年2月頃にお届けしております。ゆっくりと時間をかけ、自然造りで醸した酒の酒粕は、いろいろなビタミンや各種有用菌・アミノ酸等がふんだんに含まれています。
そのままさっと焼いて食べていただいてもおいしいですし、もちろん粕汁や甘酒、味噌粕漬けなどいろいろにお使いいただけます。オリーブオイル・塩と混ぜてパンにのせ、こんがり焼くと、不思議にチーズっぽい味わいが楽しめます。和風だけでなく、グラタンやシチューなど洋風のお料理にもお使いください。
レシピ一つ 「根菜粕汁」4人前 体の芯からあったまる
材料 大根・人参各100g、油揚げ4分の1枚、ゴボウ50g、ネギ15㎝、酒粕60g、味噌60~70g、水4カップ、昆布5㎝、油小さじ2、塩小さじ4分の1
①大根、人参、油あげは短冊に切り、ゴボウはささがきにする。
②なべに油を熱し、ゴボウをよーく炒め、いい香りがしてきたら大根、人参を加え、塩を入れる。さっと炒まったら、水4カップと昆布を入れ、煮立たせる。
③すり鉢に酒粕を入れ、なべから煮汁を2分の1カップ取り、よくつぶす。途中、味噌を入れ完全に混ぜ合わせておく。
④③を②に流しいれ、さっと煮たてて、小口に切ったネギをちらし、火を止める
※アルコールの苦手な人は、だし汁を作るとき同時に酒粕も入れて煮こむとよい。
↑ 発芽玄米酒「むすひ」の酒粕 「にぎり酒」 300g 230円 ※冷蔵販売 要冷蔵
酒粕は昔から「握り酒(にぎりざけ)」と呼ばれたいへん珍重されていたそうです。
「むすひ」は生きたお酒で、その絞り粕である「にぎり酒」の中にも、たくさんの乳酸菌や酵母菌、こうじ菌の生命や生み出されたものが集まっています。
「むすひ」はとても個性的な味わいの酒ですが、その酒粕「にぎり酒」も従来の酒粕とは違って、酸味が強く、独特の香りがあります。そのまま食べても美味しいですが、うまみ成分がたくさんありますので、お料理に使うととてもおいしくなります。自由な発想、色々なアイデアでお料理やお菓子づくりにもお使いください。酵母が生きていますのでパン作りにもお使いいただけます。
玄米酒粕の簡単利用
・ご飯を入れる時に少し入れると、ご飯が艶やかになり甘味も増します。
・仕上がった味噌汁にほんの少し加えると、コクが出て粕汁のような風味になります。
・炒めもの、煮物などにもお使いください。
・酵母をおこして、酒粕酵母のパン作れます。
※その他、「にぎり酒」を使ったたくさんのレシピ、店内で配っています。
↑ 菩提もと仕込み 「醍醐のしずくの酒粕」 500g 387円 ※冷蔵販売 要冷蔵
鎌倉時代頃のどぶろくの造り方・菩提もと仕込みを再現して醸した「醍醐のしずく」の酒粕です。酒袋に入れてしぼっていますので、形は大小さまざまなかたまり状になっています。約2週間ほどでできるお酒ですので、酒粕には蒸米や麹の粒が残っており、乳酸菌や酵母菌などの微生物たちが生きています。
自然酒(五人娘や香取)酒粕と比べると酸味があり、やわらかい味わいの酒粕です。お料理やお菓子作りはもちろん、パン作りに最適。「にぎり酒」よりも少しソフトな感じの仕上がりのパンができます。ぜひお試しください。
レシピ一つ 「酒粕トースト」 これはチーズだ!
材料 バケット10センチ(またはお好みのパン)、酒粕大さじ1、オリーブ油大さじ1、塩適量
①バケットを2センチ厚に切る
②①に酒粕、オリーブオイルをまんべんなく塗って、塩少々を振る。
③トースターで3分ぐらい、軽く焦げ目がつくまで焼く。(「焦げ目がつくまで」がポイントで酒粕のアルコール分をとばすと、不思議とチーズ風味!
↑ 甘酒づくり、味噌作りに! 発芽玄米麹 「かむたち」 500g 1175円
古来から日本ではカビを用いた醗酵食品を育んできました。穀物である米はコウジカビによって糖に分解されます。カビは増殖する過程で諸々の酵素を生産し、その中のひとつである糖化酵素によって澱粉を糖に変え、「米麹」を造るところから日本の醸造が始まったのです。この「米麹」のことを古くから〝かむたち〟と呼び、先人
たちが試行錯誤を繰り返しながら、長い歴史をかけて醗酵食文化を築いてきました。コウジカビの生産する酵素は人の健康に深くかかわり、いつしか日本が世界の長寿国と言われるまでになったものと思われます。
「玄米」を土に蒔けばやがて根や芽が出て育ち、一粒が万倍にも増えます。これは「玄米」には生命(いのち)があるからです。この生命ある「玄米」を発芽させ、そこにコウジカビを種付け、新しい生命〝かむたち〟が甦りました。生命を損なわないよう、伝統の手造りにより丹精こめて醸された〝かむたち〟。
味噌、甘酒、漬物等の醗酵食品にご利用くださいませ。
レシピ一つ 「甘酒」 子供喜ぶ!
材料 こうじ200g
もち米1/2カップ~1カップ(お好みで加減してください)、塩ひとつまみ
※うるち米でもよいがもち米のほうが甘みが出る。
① もち米に塩ひとつまみを加え、少し固めのお粥状に炊き上げ、
50~60度まで冷ます。
② こうじをよくもみほぐし、1カップのぬるま湯に1時間ほどつけておく。
お粥とこうじを混ぜ合わせ、50~60度に保温して半日置く。
(少し長めに保温すると甘みが増す。具合をみて加減してください)
温度が下がるようならその都度火にかけ50~60度を保つ。
③ 好みの甘さになったら、鍋に移して火にかけ発酵を止める。
※好みにより温めてお湯で割ったり、しょうが汁を加えたりして飲む。
甘酒を涼しい場所に放っておくと酸味がでてくるが、それもまたおいしい
保存方法 冷蔵保存。また、冷凍すると1年くらいは保てます。
酒粕であったまってください。