代表コラム

2020.12月より、コタンの新しい紙媒体「紙コタン」を発行している。完成したら出すスタイルで最近第4号目を発行したばかり!

2005年に開業したコタンは当時、すべての商品説明やストーリーを輪転機を使い全て手書きの紙で発行していた。でも生産者と出会い次々と増える商品。それを説明するのに紙がいくらあっても足りないことにあっという間にぶち当たり、当時盛んだったブログにその場所を移しました。

そこから長らくその形を続ける中、あッとほぼ全ての人がインターネットを携帯する時代となり、Facebookや InstagramなどのSNSが日常のものとなった。日常店として鮮度の高いニュースや入荷情報、イベント情報をすばやく皆に伝えるその力は圧倒的でコタンの主幹メディアはブログからこれらにメディアへまた移行することとなる。これからも情報発信としては今後も大いに使っていくつもりだし、今後新たなメディアインフラが出来たならそれに移行していくだろう。これは日常店としての性。

でも、これらによって毎日膨大で過剰とも言える情報が上から下へ止めどなく流れて行く時代となり、情報過多が故、受け止める受信力、判断力がますます弱まっていったように感じる。本当に知りたい情報、自分の人生を変えるような情報が目の前に流れていても受信できなければ意味はない。

発信力より、どう受信してもらえるかを再考すると、データじゃなくてやはり紙に刷っての物質化という原点に秒で立ち返る。

そして自分がコタンをやる中で出会い続ける食品以外(コタンに関わる仕事以外)でも感銘を受けてきた別ジャンルのたくさんの人達。その人達と関われる場所としても初めての媒体とした。

紙コタンの創刊号からの一貫した構成は以下のようになっている。

⚫︎県外ゲスト寄稿者

⚫︎県内ゲスト寄稿者

⚫︎物語のあるレシピを寄稿してもらうゲスト料理人枠

⚫︎18歳以下枠のゲスト寄稿者

⚫︎コタンマーケットワッカのスタッフ枠

⚫︎ワッカファーム代表の連載

⚫︎コタン代表(自分)の連載

そして

毎回違うアーティストによる

⚫︎表紙と絵

この構成を守って毎回それぞれの枠のゲストに声をかけ、内容はそれぞれ自由に寄稿してもらい全ての原稿が集まったら自分で配置、デザインし発行している。

そして受信してもらう(読んでもらう)ことを前提としているため、読まれず捨てられるフリーペーパーは避けて一部50円で販売。ここに金銭の利益はなく、読んでもらうための通過儀礼。お賽銭お願いします🤲

今の4号まで全部で200円、10号までこの形での発行を考えており、10号全巻セットで500円という景色を見るのをわくわくしながら、1号1号進めているが再印刷はしないので10号出来る頃にsoldoutで揃わないのが、嬉心配。

毎回毎回、紙コタンがなければ酒を呑むぐらいしか関われなかったゲストや、大人と子供としてしか会話出来なかった18歳以下枠のゲストとそれぞれ対話しながら形にするこの媒体が今のひとつの大きな生きがいです。4号目が出たばかりだが、今は5号目に向けてまた新しい山を登り始めた。

今までこれからの紙コタンの内容としてはノンジャンルで思ったよりポップ♪、時事的なことというより普遍的な内容がそれぞれ紙に焼きついているので、バックナンバーもフレッシュに楽しんでもらいたい。

なお内容に対するクレーム、文句、ディスり、は紙媒体の性質上一切受け付けておりません😉

呑み屋であったら聞きますね🧡

以下 紙コタン創刊号〜第4号までの寄稿者とタイトル&アーティスト。

「紙コタン創刊号」

⚫︎池田義文(ギブミーベジタブル、新亜細亜的超越感覚、アダルトタイム)

「有機的なお店」

⚫︎三宅洋平(犬式/三宅商店/里山経済・環境研究所) 

「2020 12/1 庚子年 神無月十七日」

⚫︎吉田わっか(13歳)

「海辺で見る世界」

⚫︎三原寛子(南風食堂)

「ふたつのお粥」

⚫︎佐々木竜也(ワッカファーム代表)

「どこにも載ってない野菜の育て方~小麦編~」

⚫︎きょうまちともこ(コタンスタッフ、toita代表)

「死に物狂いで生きる」

⚫︎近藤英和(コタン代表)

「3,4じゃなくてまず油!」

⚫︎表紙・絵 ミナミリョウヘイ

「紙コタン第2号」

⚫︎傍嶋飛龍(廃材エコヴィレッジゆるゆる村長)

「幸せなコミュニティとはなんぞやへの挑戦」

⚫︎Racco(IdolPunch Vocal、RACCOS BURGER) 

「フタ付のペットボトル」

⚫︎藤山すず(14歳)

「にんじんスープ」 「ぐるぐる」 

⚫︎鈴木大輝(発酵わくわく大使∞ハッコープ)  

「キミにミキ」

⚫︎佐々木竜也(ワッカファーム代表) 

「どこにも載っていない野菜の育て方~米編~」

⚫︎桐山陽菜子(TheMARKETパン職人) 

「TheMARKET五代目パン職人」

⚫︎近藤英和(コタン代表) 

「いただきます」 

⚫︎表紙・絵 ifax!

「紙コタン第3号」

⚫︎長沢哲夫(トカラ列島諏訪之瀬島の漁師、詩人) 

「人」 「小さな息」

⚫︎能勢伊勢雄(Live House PEPPERLAND、写真家)

「ZIPPYコミューンから生まれたライブハウス」

⚫︎片野葉太郎(17歳)  

「僕たちの未来」 

⚫︎小此木大(インド食堂タルカ) 

「はじめてみるインドカレー」

⚫︎佐々木竜也(ワッカファーム代表) 

「どこにも載っていない野菜の育て方 ~米栽培 続編~」

⚫︎清水晶(ワッカファームスタッフ) 

「野菜になる」

⚫︎近藤英和(コタン代表) 

「日本で一番大きな島はどこでしょう?」 

⚫︎表紙・絵 大井戸猩猩

「紙コタン第4号」

⚫︎コウ ノリ(サンシャインジュース代表)

「野菜ジュース所感」 

⚫︎とろん(電気のない月の村村長、太一や)

「元気力発電所」

 ⚫︎大西つねき(14歳、政治家)  

「中二病を治すな」 

 ⚫︎甲田幹夫(ルヴァンオーナー) 

「おはぎとりんごと母」

 ⚫︎佐々木竜也(ワッカファーム代表)

「どこにも載っていない野菜の育て方 ~温床編~」

⚫︎宮脇祐実(コタンスタッフ) 

「呼吸との繋がり」

 ⚫︎近藤英和(コタン代表) 

「犬と宇宙のラジオ」 

表紙・絵 Niky Roehreke ニキ・ローレケ

紙コタンはコタン店頭、又はコタンネットショップで購入できます✋今後も10号まで乞うご期待あれ!

コタンネットショップ

春が来て暖かくなって来ると寒い時期には求めなかったバナナも食べたくなる。

マクロビオティックのベース、陰陽五行の考えで南の暑い地域では体を冷やす物がとれ、北の寒い地域では体を温めるものが取れるという自然の摂理。バナナは南で取れるものだから、体を冷やすもの。やはり夏の暑い時に食べたくなるというのは素直な体の反応。さあバナナが美味しいと感じる季節がやってくる。

バナナというとトラウマのように体に染み付いている話が、アントニオ猪木のおじいちゃんの話。

アントニオ猪木を知らない人はいないと思うが、その壮絶とも言える生い立ちは知らない人も多い。

「私には父の記憶がほとんどありません。母は父の石炭工場経営を引き継ぎ、女手ひとつで私ら家族を養った。よって私にとっての親代わりは、祖父だったんです」

祖父を慕い中学生の時まで祖父の布団に潜り込んで寝ていた。アントニオ猪木さんは横浜市鶴見区で11人きょうだいの9番目の六男として生まれた。5歳になる直前に父が急死。母と離れ、祖父の家で幼少を過ごした。そして祖父の石炭事業が時代の需要減少とともに傾き、祖父の声のもと一家はブラジル移民に一縷の夢を託す。猪木14歳の時である。

一家総出で船でブラジルを目指してる途中、パナマ運河を抜けて最初の寄港地クリストバルの港に着く。その港には青いバナナがたくさんあった。この時代の日本ではバナナはたいへんなご馳走だった。祖父はたくさんのバナナに喜んで青いバナナを買い、そしてベネズエラの沖で、そのバナナのシブにあたり、腸閉塞を起こし自分が夢見た新天地へ辿りつく前に海上で亡くなってしまう。

 一家が最も頼りにしていた祖父の死により、猪木たちは見知らぬ土地で、大きな不安を抱えたままの新生活を余儀なくされた。

その後、ブラジルに来た力道山に見出されて行くのだが、言い出しっぺであり、皆の慕う祖父が1人だけ辿り着けずに大好きなバナナで死んでしまうというこのストーリーが、中学生の自分には切なすぎてほとんどトラウマとなる。

ああ切ない。

その後コタンをやるようになり、届くまだ青みがかったバナナを見ると異国の地でじいちゃんが喜び興奮している姿を思いだしてしまう。

さてコタンで扱うバナナは有機栽培のものである。

それは栽培時はもちろん、輸送時にも農薬や燻蒸薬を使用せず届いたもの。万が一輸送時に虫が発生し、燻蒸したものは有機バナナとしては流通しない。

コタンでのバナナの扱いを始めた当初に聞いた話で、船乗りの間で交わされる合言葉のようなフレーズがある。

「バナナ船の風下には立つな」

これはバナナ船での燻蒸薬が強烈だという表現。海の上でバナナ船を見かけたらなるだけ風下には船を走らせない。

この話を聞いてからというもの、青いバナナに加えて、慣行栽培のバナナもなるだけ食べないようになった。

そして太平洋を船で横断する際は、バナナ船の風下には立たないように気をつけてようと思っているのだがまだその機会は来ていない。

自然食コタンネットショップ

何年か前から「食糧危機がもうすぐ来る」というセリフをよく耳にするようになった。

コタンを始めた頃から、小麦ショックが来たらそれはかつてのオイルショックより大きなパニックになると見聞きした。それだけ日本の現代食は小麦に溢れそのほとんどを輸入に頼っている。

小麦だけではない、自給率40%で外からの輸入で成り立っている日本の食環境は、コロナ、戦争、いろいろな要因で外からの供給が途絶えると一気に危機になる。

たしかに15年以上食品小売業をやってきた経験の中でもここ最近の値上げ値上げは今までで経験したことのないものだ。

食品だけではなく、冷蔵庫や自動車、トイレなどあらゆる製品が製造供給できてない。

いったいどうなるかわからない。

しかし、今から来る危機はその供給の話であり、とうの昔に自給率は下がり、食品添加物、農薬、遺伝子組み換え食品に席巻されている日本、本当の食べ物という視点からはとっくに食糧危機の中生きてきたとも言える。

そして、もしかしたら、今の食品がさらに供給不安定になり、食糧供給への危機感が極まったその先に遺伝子組み換え食品のさらなる規制緩和や既に供給が始まっているゲノム食品の席巻というストーリーが用意されているんじゃないかと勘ぐってしまう。

コロナ然り、恐怖や不安が最も人々を煽動できる。

ここから来る食糧危機の恐怖や不安に立ち向かう唯一の手段は食べるものがあるということ。そしてそれがプラスチックでもなくゲノムでも無く本物の食べ物だということ。

つまりはすごく簡単。畑に種を降ろすことだったり、地元の優良な生産者から食べ物を買ったりなど、外からのモノではない、身近な食べ物のコミュニティの一員となること。

そのコミュニティが強固であればあるほど、近く必ず来る食糧危機と言われるその恐怖不安に惑わされないだろう。

2005年の創業以来、自然食コタンのコンセプトに「なるだけ問屋を通さない」を掲げて生産者、メーカーと直接取引してきたこともこのコミュニティの強度のためと言える。開業時掲げたこの「問屋を通さない」についてはまた次回掘り下げて話したいと思います。

農業生産法人ワッカファームを筆頭に沢山の生産者、メーカー、そして地域のお客さんとがぐるぐるとつながり、より優しく強いコミュニティのハブであることが商店コタンの一つの役割だと感じています。

同じ釜の飯を食う

ゆるぎないコミュニティ。

引き続きどうぞ宜しくお願いします🤲

-コタン代表-

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