出雲社員旅行2日目。cotanを象徴する商品のひとつともなっている木次パスチャライズ牛乳を製造されている木次乳業さんへ行かせていただきました。
私を含め多くのスタッフがどんな環境で牛達が生活をしているのか、どんな顔をしているのかを本当に楽しみにしていたと思います。
まず…そもそもパスチャライズ牛乳とはどんな牛乳なのか。
牛乳の天然の成分、栄養、風味を損なうことなく病原微生物による危険性を最小にすることを目的として65℃30分間殺菌する製法(低温殺菌)を用いた牛乳のことです。
過度な熱処理をした牛乳は胃の中で凝固しにくくなり、消化不良のまま腸に運び出されてしまいます。これによってお腹がゴロゴロしたりする原因のひとつにもなります。
木次パスチャライズ牛乳は乳本来の性質が残っているため胃の中でしっかりと凝固し、ゆっくりと消化、吸収されるので栄養分を十分に吸収されると言われています。
木次乳業さんでは何事もより自然な状態が一番と考え、きれいな空気、水、太陽に囲まれ、自由にのびのびと育った牛から質の高い牛乳が生まれるという考えで、工場から1.2時間以内の自然豊かな奥出雲の地の酪農家さんから毎日生乳を集めています。
特にノンホモ牛乳(圧縮せず油を散らさない、より自然な状態を保った牛乳)は搾乳してから工場までが遠いと揺れによって油が散ってしまうので絶対です。この自然な油が表面の膜となり、酸化も防いでくれます。
朝集められた生乳はその日のうちに検査をし、状態をしっかりチェックします。
厳しい検査をクリアした生乳のみが牛乳、加工品となります。
加工品のひとつに数種類のチーズがあります。コタンでも大人気商品、日本人にとってちょっと贅沢な特別なイメージがありますが、木次乳業さんではなんと牛、牛乳の状態をチェックする方法のひとつとしてチーズを作っています。
牛も生き物、体調や季節などによって様々な変化があります。
牛と直接接する〓チーズに加工することによってその日その日の状態がわかり、おいしいチーズができ、牛、牛乳ともにベストと判断されるそうです。
このことは直接お話を伺えるまで知らなかった驚きの事実です。
そしてもうひとつの驚きは一日のうち午前中は加工などの作業をし、午後からは全て清掃の時間としているということです。より自然な状態で搾乳し、必要最低ラインでの低温殺菌という方法を用いているので、様々な菌が繁殖しやすいからだそうです。午後からは工場内全てを清潔にし、より良い状態を保っていることで毎日確実に良い牛乳を作り出すという丁寧な気持ちがより伝わりました。
このことは牧場も同じで、牧場と聞くと独特な臭いが強く、どこかあまりキレイではないイメージがありますが、見学させていただいてびっくり、牛舎は清潔感があり、牧場は自然なまま、牛達も人間と同じ環境が一番心地良いのだろうという考え方に納得させられました。そんな環境で暮らしている牛達はおだやかで人なつっこく、優しい目をしていました。
商品にもあるブラウンスイス種の牛はその名の通りスイス生まれで、山の高低差のある場所生まれなので足が太くしっかりしており、平地ではなく山地に放牧されています。山に放牧されている牛は初めて見ました。
そんなブラウンスイスからうまれた牛乳はコクと旨味がしっかりあるのが特徴です。
牛も人間も同じー木次乳業さんでは生産者自ら心と身体が健康でなければなにも生み出せないという先代からの伝えがあり、全社員の昼食は自社農園の無農薬野菜や、玄米を使った社員食堂でお昼ご飯を共にします。健康維持.地産地消、今ではよく聞く言葉になりましたが、創業以来から引き継がれています。
時代や環境の変化により、食べることは生きることと分かってはいても多くの選択肢が溢れ、良くも悪くも進化しました。米作り、野菜作り、牛飼い、さまざまなコトができる私達人間はより自然の流れに沿った暮らしを振り返るべきなのでは。と今回の出雲の旅で改めて考えさせられました。
それぞれの役割を持った人間達が互いに助け合い、地域的な広がり、繋がりの中で循環していく社会。
大自然のサイクルに基づいた暮らし、少量でも足りる分でいい、季節に合わせた食べ物をいただき、赤ちゃんには母乳が一番。自分自身の心と身体の声をもっと素直に聞き入れてありがたく毎日を暮らしていきたい、と強く思いました。
今回私達が宿泊させていただいた[瓦葺きの家]も木次乳業さんがさまざまな人達が集まり、交流できる場所として作られました。
互いの想いや夢を食卓を囲みながら語らう、私達も全員ではなかなかできなかった機会をすばらしい宿で実現させていただくことができました。
ひとつひとつのいのちに感謝し、幸せも困難も全ては繋がっていることを感じて、ありのままの自然の一部として大切に毎日を暮らしていきたいと思いました。
今回の出雲で出会い、たくさんのお話を聞かせてくださった方々、それぞれの視点で2日間共に過ごしてくれたcotan.MARKETのみんな、ほんとうにありがとうございました。
スタッフ 粕谷まい