スタッフブログ

3月3日 くもり ひな祭り研修

お店の定休日を利用して、岡山県瀬戸内市長船町にある名刀味噌本舗さんへスタッフ一同お邪魔してきました。

作業場に入った第一印象。 前にお伺いした時にも感じましたが、建物に入ると心なしか背筋がスッと伸びる。それは、長い年月を物語る古い建物の佇まいがそうさせたのか、それとも蔵付きの菌たちによるものなのかはわかりませんが、とにかく身は引き締まる。そしてこの感覚は、小豆島ヤマロク醤油さんの醤油蔵に入った時にも、同様に感じたことでもありました。

コタン一行を迎えてくださったのは、二代目宣隆さんと三代目の隆平さんと陽平さん。
創業者の初代喜久郎さんは戦後、地元の醤油工場で勤めていて、当時は醤油が飛ぶように売れたそうです。しかし、時代が安定するにつれ大手メーカーの製品に押されて工場は閉鎖してしまう。そこで、醤油工場で身につけた技術をもとに、こうじ屋さんを創業したのが名刀味噌本舗さんの始まりとのことでした。
当時は各家庭がこうじ屋さんに自分とこのお米を持ち込み、麹にしてもらったものでお味噌をつくるのがポピュラーだったとのことでした。なんて豊かで素敵な時代だったのだろう。そして、長船では、昔から醤油を足したひしお麹、甘酒、夏場につくるひなた味噌が良く食べられていたそうです。そこで、初代喜久郎さんは日持ちせず扱いが難しい麹を乾燥させ、誰でも気軽に使える乾燥麹を試行錯誤のうえ開発したそうです。なんと、乾燥麹を商品化させたのは、名刀味噌本舗さんが最初。そしてちょうどその頃、マクロビを推奨する方の目にとまり、健康食品として、乾燥麹が広まっていったそうです。なんやかんやを入れて量産する業者もいる中、名刀味噌ではもちろん、創業から添加物は一度も使ってないよと力強く教えて貰ったところで、お話は二代目から三代目隆平さんへバトンタッチ。

隆平さんには、実際に麹を作っている作業場を見せてもらいました。麹をつくる箱は約2m四方高さ50cmほどの箱の中で作られています。

その日は残念ながら、仕込み中の麹はなかったので見ることができませんでしたが、目には見えてないけどいい仕事をしてくれている蔵付きの菌たちのただならぬ気配だけは、感じることができました。
(下2枚の写真は以前お邪魔したときのもの)


箱の下には、乾燥させるために温かい空気をおくる年代物の送風機が取り付けられていました。ボイラーの熱量を調整するのもさじ加減ひとつ手動のバルブ。ここには一切デジタル化されたものはなく、作業は全て手作業職人の手の感覚で行われているとのことでした。

先ほど、二代目の話にもでてきた各家庭からお米がもちこまれるのことが、普通だったとありましたが、最近になってその数が増えてきたそうです。そのタイミングを聞いたところ、やはり3.11後から。かなり遠方からも依頼が来ているので大忙しだそうです。さらに続けて『納豆はタブーですか?』と、私のありきたりな質問に、『ここにいてくれている菌たちはとても安定しているので、ちょっとやそっとじゃ負けないから大丈夫!だけど、やっぱりいつのまにか食べないようにはしているんですよ。好きなんですけどね・・』と隆平さん。
ここでも、職人さんのこだわりをキラリ発見しました。

そして最後にお話を伺ったのは、とても良い感じに馴染んだ寺田本家の前掛けをしていた陽平さん。
醸造学を学び、外に出て幅広い分野での醸造を身につけ、最近戻ってこられた陽平さん。そして、ここで陽平さんが戻られてから商品化されるという、まさにちょうど仕込まれていた塩麹をスタッフみんなで味見させて貰いました。一瞬の間を置き・・スタッフ一同驚愕!!!!これはっ別格!!!!!今まで自分で作っていた塩麹はなんだったんだろ。塩分が少なく直接スプーンでなめることができる塩麹。名刀味噌さんの塩分濃度は5%、一般に市販されている塩麹は倍以上であるし、旨みの濃さが全く違う!!!長年の蔵付きの菌がいる作業場で発酵を知り尽くしたお三方が織り成す醸しの技!!まさにここに見たり!!です。すいません興奮しました。でも本当に格別にうまい。しかも、加熱処理をしていないので、麹本来が持っている酵素を生きたまま体へ取り入れることができます。なので商品名は、『生塩麴』。洋平さんのお話によるとどうやら、乳酸菌がポイントとのことだそうです。ちょうど最近異なる分野の醗酵のプロからも、乳酸菌がキモだよ・乳酸菌の時代だよと聞いたばかりだったので、妙に一人大納得。ガッテンボタン押しまくりでした。乳酸発酵により雑菌から食品を守る効果があり、植物性乳酸菌は日本人の体質に合っていて整腸作用がが期待できるといわれています。

陽平さんが戻ってきてくれたから、最高の商品が作ることができたと弟の隆平さん。それを、本当に嬉しそうに黙って聞いている二代目宣隆さん。こんなにも、それぞれの仕事に誇りをもって、お互いを尊敬しあえる家族ってそうはない。名刀味噌本舗さんのおいしさの1番の秘密はこれだと、確信した名刀味噌本舗さんでの研修でした。

宣隆さん陽平さん隆平さん 貴重なお話と時間
ありがとうございました。
今度は初代喜久郎さんにもお会いしたいなぁと思いながら作業場を後にするとすぐ、長船の春を見つけました。

staff 又

2015.01.20

土のうえ。


人も動物も土の上、ワッカファーム。

どんなに設備が発達しても、SNSが発展しても立っているのは、愛かわらずの土のうえ。コンクリートはがせば全部土。

電車止まって、「どうしてくれるんだ」と怒ってるおじさん。ある意味の猛烈な信仰心。

鹿や猪が増えてるの、野良犬が減ったせいもあるだろう。ここまで野良犬を徹底的に排除した日本。凶暴グローバル化。見つかったらあっという間に処分される。インフルエンザも野良犬も報道自主規制も全て過剰リスク回避。リスクをどう減らすかのhow to。どんな時代も生活においてもちろんリスク回避大事。でもリスクが100%はなくならない真理。土のうえ。

アジア、ヨーロッパ旅した時、野良犬がいるところの方が人間も豊かな感じがした。自由に土のうえで暮らす喜びは、犬も人間も一緒。連鎖する。

まあ、場所によっては野良犬多すぎて大変だったとこもありました。言いたかったのは極端過ぎる点。

もうちょっと自然なかたち、そこには野良犬の1匹2匹はいるんじゃないかと思うのです。

ひで

2014.07.03

MOROCCO

はじめまして。コタンスタッフの山本です。
いつもご利用いただき有難うございます!

私事ですが先月、30を目前にして初体験の海外へ行かせていただきました。
一人旅。選んだ場所は何年もあこがれ続けていたモロッコ。
英語力は中学生以下レベル、アラビア語はもちろん、公用語であるフランス語もお手上げ。
一か月前にとりあえず飛行機のチケットだけ取ったのはいいものの、準備もギリギリ。
ほぼ勢いだけで自分でもワケも分からないまま飛び込んだモロッコは…
想像していた以上に素晴らしい国でした。
この場をお借りして少し旅のお話をさせてください。

モロッコ、旅を終えてみて強く心に残っているのは人々の温かさと優しい笑顔。
出発前、訪れた事がある人たちからは危ないうわさもけっこう聞いていたけど
色々なものに守られ、心やさしい現地の人達にたくさん助けられ
特に危険な目に遭うこともなく、感動や刺激にあふれた最高の旅でした。

まず、コタンスタッフとしては食レポを。
モロッコの食べ物、基本的には何でも美味しいです!
メジャーなのはタジンやクスクス、モロカンサラダなど。




味付けはシンプルで、素材の味がしっかりと味わえます。
屋台でもレストランでも席に着くとたいてい「ホブス」というフォカッチャのような
平べったいパンと、塩漬けオリーブなどがセットで出てきます。
この「ホブス」が日本でいうご飯のようなもの。

炭水化物もよく出てきます。
ある日のホテルの朝食は、大きなクレープ3~4枚にバターをたっぷり塗ったもの、
ホブス、山盛りのチョコチップクッキー、そして甘い甘いミントティー。
見ただけで胸やけがしてしまいます。このホブス、どうやって食べたらいいんすか…?!
パティスリーではクッキーなどを好きな大きさの箱に好きなだけ詰めて量り売り。
こちらもただただ甘いです。デーツ入りのクッキーがおいしかったな。

モロッコといえばミントティーです。



緑茶とフレッシュミントを煮だしたお茶に、
信じられないくらい大きな角砂糖のかたまりを入れて飲みます。
初めて飲んだ感想は…「げっ!ハミガキ粉飲んでるみたい!!」と
顔をしかめてしまいましたが、毎日強い日差しが照りつける中
この土地を歩き続けていると不思議とこの味が恋しくなって
旅の後半ではよく自分でもオーダーしていました。

そしてモロッコはとてもオーガニックな国でした。
もちろんそれを意識しているわけではなく、そういう暮らしが当たり前というかんじ。
特に先住民であるベルベル系の人々は、砂漠へと続くアトラス山脈の
険しい山道沿いの小さな村で、これぞ人間の暮らしの原点!というような生活を送っていて、
何百年も昔にタイムスリップしたような気分でした。




自然の恵みを上手に生活に取り入れ、必要なものは自分たちの手で作り出す。
過酷な環境の中、生きるために農作物を育て、家畜を育て、チーズやハチミツも自家製。
一家に一頭は飼っているというロバが、収穫した重たい荷物を背負って車やバイクとともに
道を歩く。女性たちはヘナやデーツの種から作ったアイカラーでお化粧して。



マラケシュやフェズ、シャウエンなど街のスーク(市場)には
高い技術を持った職人さんがたくさんいて、伝統を守っています。
多く見られたのは、バブーシュ、革製品、染色品、陶器、カゴ細工、木工品、鍛冶屋など。




とても繊細な作りと美しいデザインや配色。うっとり見とれてしまいます。
藍やスパイスなどのナチュラルカラーで染められたカーペットなどの布製品もすてき。



また、人と人とのつながりをとても大切にしている国だな~という印象が強かったです。
家族や友人をとても大事に想い、困っている人がいればお互いに助け合って。
道端で顔見知りに会えば、満面の笑みでハグしてほっぺにキスの挨拶。
「やぁ、元気かい?」と会話が始まる。
女性同士だって、おじさん同士だって、おじいちゃん同士だってみんなそんなかんじ。
そんなキュートでLOVE&PEACEな光景をしょっちゅう目にして心が温かくなりました。
自分の気持ちを素直に相手に伝えることができるって素敵。

長時間移動の列車の中では、一人が話し始めると隣のお兄さんも向かいのおばちゃんも
どんどん加わって世間話が始まり、初対面同士とは思えないくらい和やかな空間に。
私もボロボロの英語と、筆談と、ジェスチャーを駆使して異文化交流をエンジョイ。
向かいの席のきれいな目をした男の子。鶴を折ってあげたら喜んで遊んでくれました。



イスラム教徒のモロッコの人々は神様への感謝の心もとても大切にします。
モスクと呼ばれる礼拝堂が街のあちこちにあり、その高い塔から一日5回、アザーンという
礼拝を呼びかける言葉が街中に響き渡って、とても神聖な空気に包まれます。



毎週金曜日の”祈りの日”には、モスク周辺やお店の前にもマットを持参した人々が集まり
呼びかけに合わせてジュラバ姿の人々が一斉に地面に頭をついてお祈りしていました。

モロッコにいると1日の時間の流れがとってもゆっくりに感じます。
日が落ちるのが21時頃だったのもあると思いますが、日本とは明らかに違う時間の流れ。




人々の話し方も歩くペースもゆっくり。仕事の合間の一服タイムも大切にして。
子供や動物たちも大自然の中で自由にサッカーしたり走り回ったり。
なんというか、街全体の空気がせかせかしていなくて、ゆっくりと深呼吸ができるのです。

初の海外旅を終えてみて…旅は新たな自分にたくさん出会える瞬間がたくさんあります。
日本にいると、色々な雑念がつきまとったりして思うようにできないようなことも
自然とできてしまう。積極的にコミュニケーションをとりにいけたり
色々なトラブルも楽しんじゃってる自分がいたり。
「こんな自分いたんだ~!」という驚きと発見もたくさんあって面白かったです。
不思議な旅マジックにかかりまくった二週間。ちょっと自信もついた。

そして、この国のことがより好きになりどんどん興味が湧いてきています。



人々の暮らしのこと、食のこと、仕事のこと、音楽のこと、イスラム教のこと、
ベルベルやトゥアレグ民族の歴史のこと…。もっともっと知りたい。
この国の人々の大きくて豊かな心はいったいどこから生まれてくるのかな。
あのどこまでも続く広くて大きなアフリカの大地の魂が心の中に宿っているのかな。





できることなら実際に住んで生活をしてみたいくらいだけど
それはすぐには叶いそうにないので…ちょっと勉強してみます。

それと同時に、愛すべきふるさとである日本が誇れる昔ながらの文化や知恵も
絶やしたくない、大切に守っていきたいと改めて強く感じました。
日本の食は本当に素晴らしい。そして美味しくて身体まで元気になっちゃう。
そんな素晴らしいJAPANES FOODを、ここコタンから
みなさまとシェアさせていただけること、本当に幸せに思います。

長い長い記事を読んでいただいて有難うございました。
これからもどうぞ宜しくお願いいたします☆