2014.08.06

大好物のウナギを食べるのをやめた理由


「大好物ウナギを食べるのをやめた理由」

小学生の時、好きなものの欄には決まって、「うなぎ、フルーツ、シュークリーム」。卒業式の時交換するメッセージカードにも必ずそう書いたし、20代で何年間か菜食を徹底する時期まで、そしてまたそれ以降もうなぎは自分の中で特別なものだった。
コタンでも2年前まで、土用の丑の日には国産のウナギに、無添加のタレをつけて販売していた。でも毎年少しずつ感じてきた価格高騰とその背景。そしてその予感と現実を決定的に示してくれた、お店でも定期購読している農文協の季刊誌「うかたま 2013年31号」の記事。

これを読みその他いろいろ見聞きしたことで、自分は大好物のウナギを食べるのをやめました。

そして、去年からコタンでの土用の丑の日のうなぎの販売も辞めることにしました。去年からなんの報告もなく突然販売を中止したことのお詫びとその理由をここで報告したいと思います。とてもわかりやすいので「うかたま」の記事より抜粋させてもらいます。以下

「うたかま 2013年 31号」より

2013年2月、環境省はニホンウナギを絶滅危惧種にしました。日本のうなぎの激減ぶりは凄まじいもので、天然の親うなぎの漁獲量は40年前の15分の1以下になっています。日本のうなぎ消費のうち天然ウナギは0.5%以下、残り99.5%は養殖ウナギです。
ところが、この養殖ウナギもじつは天然のウナギの稚魚をとってきて大きくしているだけなので、天然ウナギの減少は養殖ウナギのピンチに直結するのです。ウナギの稚魚「シラスウナギ」の漁獲は40年前の20分の1以下という状態が数年続いていて、まったくの回復の見込みはありません。
シラスウナギが激減した要因には、河川の環境悪化もありますが、最大の要因は「獲りすぎ」です。
養殖ウナギのの需要が高まったのは、ウナギの食べ方の変化が大きく影響しています。それまでは専門店に行って食べるものだったのが、1980年代以降はコンビニのウナギ弁当、回転ずし、ファミレス、スーパーのパック入りなど安価に買えるウナギが一気に増えました。

「日本人が世界中のウナギを食べ尽くす」
日本国内のシラスウナギが激減した分を補ったのは、ヨーロッパのウナギでした。ヨーロッパのウナギの稚魚が中国で養殖されて、「中国産養殖ウナギ」として日本に輸入されたのです。ヨーロッパでウナギが乱獲され激減します。全盛期の数%まで乱獲され値段も高騰した為、輸出規制の声が上がり、ヨーロッパウナギが国際取引を規制するワシントン条約の対象に加えられると、今度はアメリカウナギの稚魚の利用が増えましたが、これもあっという間に激減、アメリカでもぎょ漁獲規制が厳しくなりました。こうして日本人は世界のウナギの7割を消費し、次々とウナギ資源を枯渇させているのです。

「横行する密漁、規制は役に立たず」
ウナギの危機について、漁業者はもちろん知っていたし、流通業者や小売業者、うなぎ専門店などの飲食店も知っていました。でも、目先の利潤確保に追われ、乱獲はいっこうに収まりません。国産シラスウナギの価格はこの数年で10倍近くに跳ね上がり、2012年には1kgが200万円を超えたといいます。
シラスウナギ漁は許可制ですが、簡単な道具で闇夜に行い、うまくいけば一晩に数十万円から数百万円にもなります。そのため密漁も横行していて、ヤミ取引もおおいのです。密漁に関わった暴力団員が逮捕されたりしていますが、罰則は軽い。乱獲や密漁に対して、漁業規制はほとんど役に立っていません。
海外ではアフリカや東南アジアのウナギがねらわれはじめました。これもすぐに枯渇するでしょう。

「ニホンウナギの生態は謎だらけ。回復には時間がかかる、まずは我慢」
天然ウナギが川で育ち、太平洋の真っただ中で産卵するまでに5〜10年かかると言われています。天然ウナギの卵は2009年に世界で初めて日本の研究チームによって確認されたばかりで、ニホンウナギの生態は謎が多いままです。ウナギ資源の自然な回復には相当の時間がかかります。卵から孵化させる「完全養殖」に日本が成功したのもつい最近で、コストが高すぎて商業化にはは程遠く、「養殖」は解決策になりえません。
ここ数年、土用の丑の日が近ずくとウナギの高騰のニュースがメディアを賑わせますが、その原因と背景はきちんと伝えられていないため、消費者は値段を気にしつつも、ウナギの状況は気にしないで食べ続けてきました。
国や行政が、密漁やヤミ取引をきちんと規制できず資源管理ができないまま、水産業界や流通・飲食業界も有効な対策ができないまま、関係者が先送りを続けてついにウナギは絶滅の危機に至りました。関係者が自分で自分の首を絞めたのです。

この状況でウナギの乱獲に歯止めをかけるのは「消費者が買わない、食べない」という最も直接的な意思表示しかありません。消費者の力は大きいです。

今年の夏はまずウナギを食べるのをガマンしてウナギの危機について誰とでも話しましょう。ウナギに変わる選択肢があるならそれを選びましょう。うなぎの未来のためには関係者みんなが無償ですむ解決策はありません。みんなで今我慢して損を受け入れて、どこかで転換しなければならないのです。

「うかたま 2013年31号」より

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利潤目的のために、存在の危機に直面しているウナギ。今現在の日本では完全養殖の開発に力を入れており、遠い将来には商用化できるレベルまで至るかもしれません。そしたら食べ放題。というのはなんか不自然すぎる。大事なのは、自然のものをいただくという感覚、そして自然の定義を多様的に捉えて行くことが必須科目ですね。
「足るを知る」が平和運動、環境活動の最大値。人間がいなくなれば環境問題は一切なくなるのだろうし、ポジティブに人間肯定するために個人が選択するべきことは山ほどある。

うなぎの幼魚がなにを食べているのかわかったのはつい去年。わかってること、わかることなんてほんの少し。わからないということが豊かさと美しさに繋がっている気がする。

大好物のウナギ、もし足るを知った狩猟採集のレベルで獲ったら食べるかな!?
とりあえずやめてから今2年。

追伸 フルーツとシュークリームはやめていません、受け付けております。

ひで