2009.03.06

   かつて日本一の産地として栄えた茨城にだけ残る伝統食

 毎年日本中の食品メーカーが一同に集まる展示会が今年も2月に東京で開かれた。
 とにかく大きい展示会場は一つ一つブースを見て歩いていると、向こうの壁が全然近づいてこない。

 そんな中、今回歩いていて見た瞬間に「ん?!」と完全に足が止まった食材。出された試食を食べると「んーーー!!!」ともうひとつの試食に手が伸びていた食材。 「帰ったらすぐに注文させてください」とその場で決まっていた食材。

                 「奥久慈 凍みこんにゃく」

 凍みこんは、関西では凍りこんにゃくとも呼ばれ、平たくいうとこんにゃくの乾物。もともと江戸時代に長期保存を目的に考え出され、茨城奥久慈には丹波から製法が伝播したといわれる。一時はこの地方の農家のほとんどが冬の農閑期に凍みこんづくりに励んでいたそうだ。現在、国内で食用の凍みこんをつくるのはここ奥久慈だけ。しかも奥久慈の凍みこん職人はもはや4人しか残っていない。

                 ~凍みこんにゃくづくり~
 まずはお湯にすりおろしたこんにゃく芋を攪拌棒などで練りこむ。すると、主成分マンナンの目が徐々に開き、粘りが出る。そこに石灰水をくわえ、木箱に流し込んで半日。しっかり固まったこんにゃくを今度は熱湯で煮て、灰汁抜き。さらに数日間、石灰水に浸す。
 石灰水から引き揚げたこんにゃくは7日程度天日干しする。このとき、1日目は灰汁を抜くため、水をかけ続け、2日目からも日に3度、夜は凍らせ、朝に溶かし、昼は縮まないよう水かけをする。その後、陰干しをしてようやく完成。全行程1か月の手仕事だ。

 この地方の冬は厳しいが雪は降らない、夜はこんにゃくが凍るほど寒くないといけないが雪は大敵。(雪の下はあったかく凍らないため。)それと昼夜の寒暖の差が大きいのも良質の凍みこんができる条件。昼間温かくなれば繊維の残り方が良くなって食感も良くなるのだそう。

 凍みこんにゃく料理・・・・きんぴら、フライ、かき揚げ、おこわの具、白和えの具、卵とじなど

 どんな料理にも使える食材です。製法の似た高野豆腐と混同する人も多いそうだが、歯ごたえはまるで違う。こんにゃくとも全く別の食感。 原材料は奥久慈で収穫したこんにゃく玉。

 昔から続く伝統食。自分たちにとっては、新しい食材との出会い。再発見。自分らにまずできることはありがたく食べること。おいしくたべること。こんな食材が残らない、消えていってしまう環境にグルメも美食もない。張りぼてのグルメやつながりのないその場しのぎの美食に心渇いた人、凍みこんはしみるよ。

         奥久慈 凍みこんにゃく 9枚入り  1050円

                   徳用 40枚入り  4200円