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【名刀味噌本舗】

岡山県瀬戸内市備前長船。
小さな川が流れるのどかな住宅街に「名刀味噌本舗」さんはあります。

名刀味噌の屋号のマークが印象的な綺麗な黄色の暖簾をくぐると
心地良い蒸し暑さと発酵の良い香りで身体が緩みます。

出迎えてくれたのは3代目の高原隆平さん。

現在、2代目は補助に回り、
主にお兄さんの陽平さんと弟の隆平さん、松尾さんの3人で名刀味噌を作り続けています。

名刀味噌は元々、農家さんが米を持ち込み米を麹にする「麹屋」から始まったそうです。

今でも麹づくりを一番大切にされており、
現在も地元の方から米を預かり麹にする仕事も続けておられます。

1954年創業で現在3代目。
味噌屋としては歴史は短いそう。

来た時から気になっていたTシャツのおじいさんが初代喜久郎さん。
(愛が伝わります。。^^)

喜久郎さんは全盲だったため
作業部屋には見えなくても作業がしやすい様にいろんな工夫がされていました。

その一つが麹室。
喜久郎さんが見えなくても分かりやすいよう
平乾式乾燥機を流用した4つの大きな箱がある麹室。

湿度が通常より高く、麹菌以外の菌も繁殖しやすいそうですが
その他の菌の多さと、手がける3人の手の常在菌が味の決め手だとか。

一度、老朽化で麹室を改装した際も普通の麹室には改装せず
元の形をそのままに改装したそうです。

「麹室の性質や人の手によって名刀味噌の味になる。なるべくそのまま。自然のままに。」

そう弟の隆平さんが語ってくださいました。

そして、喜久郎さんはアイデアマンだったそうで、乾燥した麹を開発したのも喜久郎さん。

そのアイデアマンの精神は現在も受け継がれており、
コタンでも定番の「生塩麹」は業界ではびっくりの塩分5%の低塩仕込み。
(一般的には10~15%程度)

さらに非加熱処理で瓶詰めしているため、酵素が元気いっぱいの「生」の活きた調味料です。

名刀味噌本舗 / 生塩麹 330g

※写真をクリックすると商品ページに飛びます※

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「糀ネクター」は米麹100%の甘酒をすりつぶした
トロトロの濃厚な麹のネクター。
甘味は麹由来のみ!
乳酸発酵の力ですっきりと甘酸っぱい味わい。

名刀味噌本舗 / 糀ネクター 150g

※写真をクリックすると商品ページに飛びます※

糀ネクターのソーダ割りをみんなにふるまってくださいました!

蒸し暑い麹室を案内して頂いた後だったので
スッキリして甘酸っぱい味わいがとっても美味しい!
身体に染み渡りました~♪

これからの寒い時期は糀ネクターを温めた豆乳で割るのもオススメ♪
こちらはコタンの常連さんに教えて頂いたレシピです◎

甘酸っぱい糀ネクターと優しい味の豆乳が身体を温めてくれます♪

その常連さんは寒い朝の楽しみの一つだとか◎
とっても素敵です!

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新しい商品を企画していく事の他にも力を入れておられることが「地産地消」です。

中国産の原料をわざわざ輸入する事に疑問を持ち、地元の麦や大豆を使用しています。

農薬を使用している農家さんには
農薬の蒔き方も相談し、無農薬に向けての働きかけもしているそうです。

お兄さんの陽平さんが積み上げられた樽の中から二つの樽の中身を見せてくださいました。

なんと、大豆の固定種・在来種の栽培も自分たちで始めたそうです。
しかも自然栽培!

現在は地元の品種の青大豆と茶大豆を収穫し、
豆の特徴を活かし甘味噌や熟成味噌など仕込んでおられます。

その時教えて頂いた原料の国産の麦や大豆、米の現状。

麦や大豆は国の補助金が少なく、決められている販売時の単価も安いそう。

その事もあり、先日岡山では大豆を作っていた大きい団体が生産を止められたそうです。

米に関しても、
畜産用の飼料米には補助金が出ますが人間が食べる用の食用米には補助金が出ません。
国に余剰米が沢山あるからだとか。

補助金が出ない、少ないとなると、手間が多く収穫量が少ない無農薬・無肥料の栽培では
コストがかかり過ぎてしまう。

海外の安価な原料が入ってくると、作っても高いと思われ消費者は買わない。

無農薬以前に、その原料を生産することすら継続できない。

商品の作り手も、地元で生産されてる原料を使いたくてもとても少なく
(さらに無農薬・無肥料はさらに少ない)危機感を感じているという事。

国の制度上、継続して国産原料を作ることが困難な現状ですが、
国産の原料を育てて、国産原料で作り手が商品を作って行く事。

「やらないといけない大切な事」
「出来ることからやるしかない」

今回の研修で伺った
kotibrewery(コチブルワリー)さんや一文字うどんさん、waccafarmさん、
風の谷さん、そして名刀味噌さん。

みんな口を揃えて言われてた言葉です。

味噌作りは1300年前に始まり今まで続いてきた。

「自分たちも歴史の一部だと思っている。」
そう語ってくれた松尾さん。

「発酵しているからるからこそ、生きているものを食べるという事。」
「食の中の本道ではないかと思う。」

私たちの身体は食べてきた物で出来ている。
色んな食物の栄養や菌で出来ている。

その栄養や菌を人の手で料理や商品にして食べている。

丁寧に自然に無理なく作られた食べ物。
選べばまだきちんとあります。

名刀味噌さんの味噌はそんなお味噌です。

ぜひ名刀味噌さんの作り手の思いを知り味わっていただきたい。
お話を聞きながら強く思いました。

写真を押すと商品ページへ飛びます※

名刀味噌本舗 / 合わせ麹味噌 800g

※オレンジの文字を押すと商品ページに飛びます※

一般的な合わせ味噌は、仕上がった米味噌と麦味噌をブレンドして作ります。
名刀味噌さんは仕込みの段階で玄米麹と麦麹を合わせて仕込み、それぞれの麹の
相乗効果で旨みを引き出します。
玄米麹の風味と麦麹の甘味がバランスよく醸し出されたお味噌です。

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名刀味噌本舗 / 玄米麹味噌 800g

※オレンジの文字を押すと商品ページに飛びます※

玄米の優れた栄養価をそのままに、長期熟成による独特の旨味と風味のあるお味噌。
当地に古くから伝わる麹歩合(通常の2倍)により玄米麹の自然の甘味が活かされ、
深い味わいがあるお味噌です。

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名刀味噌本舗 / あま味噌(白味噌) 750g

※オレンジの文字を押すと商品ページに飛びます※

通常の白味噌の場合、大豆を煮て色調を白く見せるため浸漬持に漂白することもあります。
名刀味噌さんは、栄養価を損なわぬよう大豆に漂白等の処理を一切行いません。
しかも通常より熟成期間を長くとり、味や風味、旨味が増した白味噌となっています。

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今回の研修で感じた事。

どの作り手さんも一貫して
国産原料への危機感と、それでも続けて行く事の大切さ、
思いや覚悟を教えてくださいました。

ここ数年で急激に変わった日本の生産システムと食卓。

「食べる事は生きる事」よく聞く言葉です。

その食べ物はどうやって食卓に届いているのか。

どんな人たちで
どんな思いで
どうやって作られているのか。

もっと届けたい、伝えたい。
コタンが出来る事は何だろう?

大事な思いを改めて問う事の出来た研修ツアーでした。

作り手が居なければ手に入れる事が出来ません。
求められなければ作り続けることは出来ません。
お互いあってこそ。

思いある作り手が続けて行くために。
自分や大切な誰かを思う人々が求める商品を届けるために。
思いのある商品を思い求める人に繋げていきたい。

コタンがそういう店でありたい、と改めて思いました。

3月3日 くもり ひな祭り研修

お店の定休日を利用して、岡山県瀬戸内市長船町にある名刀味噌本舗さんへスタッフ一同お邪魔してきました。

作業場に入った第一印象。 前にお伺いした時にも感じましたが、建物に入ると心なしか背筋がスッと伸びる。それは、長い年月を物語る古い建物の佇まいがそうさせたのか、それとも蔵付きの菌たちによるものなのかはわかりませんが、とにかく身は引き締まる。そしてこの感覚は、小豆島ヤマロク醤油さんの醤油蔵に入った時にも、同様に感じたことでもありました。

コタン一行を迎えてくださったのは、二代目宣隆さんと三代目の隆平さんと陽平さん。
創業者の初代喜久郎さんは戦後、地元の醤油工場で勤めていて、当時は醤油が飛ぶように売れたそうです。しかし、時代が安定するにつれ大手メーカーの製品に押されて工場は閉鎖してしまう。そこで、醤油工場で身につけた技術をもとに、こうじ屋さんを創業したのが名刀味噌本舗さんの始まりとのことでした。
当時は各家庭がこうじ屋さんに自分とこのお米を持ち込み、麹にしてもらったものでお味噌をつくるのがポピュラーだったとのことでした。なんて豊かで素敵な時代だったのだろう。そして、長船では、昔から醤油を足したひしお麹、甘酒、夏場につくるひなた味噌が良く食べられていたそうです。そこで、初代喜久郎さんは日持ちせず扱いが難しい麹を乾燥させ、誰でも気軽に使える乾燥麹を試行錯誤のうえ開発したそうです。なんと、乾燥麹を商品化させたのは、名刀味噌本舗さんが最初。そしてちょうどその頃、マクロビを推奨する方の目にとまり、健康食品として、乾燥麹が広まっていったそうです。なんやかんやを入れて量産する業者もいる中、名刀味噌ではもちろん、創業から添加物は一度も使ってないよと力強く教えて貰ったところで、お話は二代目から三代目隆平さんへバトンタッチ。

隆平さんには、実際に麹を作っている作業場を見せてもらいました。麹をつくる箱は約2m四方高さ50cmほどの箱の中で作られています。

その日は残念ながら、仕込み中の麹はなかったので見ることができませんでしたが、目には見えてないけどいい仕事をしてくれている蔵付きの菌たちのただならぬ気配だけは、感じることができました。
(下2枚の写真は以前お邪魔したときのもの)


箱の下には、乾燥させるために温かい空気をおくる年代物の送風機が取り付けられていました。ボイラーの熱量を調整するのもさじ加減ひとつ手動のバルブ。ここには一切デジタル化されたものはなく、作業は全て手作業職人の手の感覚で行われているとのことでした。

先ほど、二代目の話にもでてきた各家庭からお米がもちこまれるのことが、普通だったとありましたが、最近になってその数が増えてきたそうです。そのタイミングを聞いたところ、やはり3.11後から。かなり遠方からも依頼が来ているので大忙しだそうです。さらに続けて『納豆はタブーですか?』と、私のありきたりな質問に、『ここにいてくれている菌たちはとても安定しているので、ちょっとやそっとじゃ負けないから大丈夫!だけど、やっぱりいつのまにか食べないようにはしているんですよ。好きなんですけどね・・』と隆平さん。
ここでも、職人さんのこだわりをキラリ発見しました。

そして最後にお話を伺ったのは、とても良い感じに馴染んだ寺田本家の前掛けをしていた陽平さん。
醸造学を学び、外に出て幅広い分野での醸造を身につけ、最近戻ってこられた陽平さん。そして、ここで陽平さんが戻られてから商品化されるという、まさにちょうど仕込まれていた塩麹をスタッフみんなで味見させて貰いました。一瞬の間を置き・・スタッフ一同驚愕!!!!これはっ別格!!!!!今まで自分で作っていた塩麹はなんだったんだろ。塩分が少なく直接スプーンでなめることができる塩麹。名刀味噌さんの塩分濃度は5%、一般に市販されている塩麹は倍以上であるし、旨みの濃さが全く違う!!!長年の蔵付きの菌がいる作業場で発酵を知り尽くしたお三方が織り成す醸しの技!!まさにここに見たり!!です。すいません興奮しました。でも本当に格別にうまい。しかも、加熱処理をしていないので、麹本来が持っている酵素を生きたまま体へ取り入れることができます。なので商品名は、『生塩麴』。洋平さんのお話によるとどうやら、乳酸菌がポイントとのことだそうです。ちょうど最近異なる分野の醗酵のプロからも、乳酸菌がキモだよ・乳酸菌の時代だよと聞いたばかりだったので、妙に一人大納得。ガッテンボタン押しまくりでした。乳酸発酵により雑菌から食品を守る効果があり、植物性乳酸菌は日本人の体質に合っていて整腸作用がが期待できるといわれています。

陽平さんが戻ってきてくれたから、最高の商品が作ることができたと弟の隆平さん。それを、本当に嬉しそうに黙って聞いている二代目宣隆さん。こんなにも、それぞれの仕事に誇りをもって、お互いを尊敬しあえる家族ってそうはない。名刀味噌本舗さんのおいしさの1番の秘密はこれだと、確信した名刀味噌本舗さんでの研修でした。

宣隆さん陽平さん隆平さん 貴重なお話と時間
ありがとうございました。
今度は初代喜久郎さんにもお会いしたいなぁと思いながら作業場を後にするとすぐ、長船の春を見つけました。

staff 又