2008.09.15

         飛べないかも  アヒル

 カモの肉は野鳥の中でも最もおいしいといわれ,日本人は古くから鴨肉を愛好してきました。昔から鴨やその味は、無上のごちそうや快楽,獲物を意味する言葉として伝えられています。
 野鴨の中のマガモを、今から三千年程前に中国やヨーロッパで飼いならし家畜化したのがアヒル(家鴨)です。マガモに比べて大きく,卵をよく産むので、用途に合わせて世界中でさまざまに改良され、各種の料理に用いられてきました。その際、体が大きく重くなり、翼は小さくなったアヒルは数メートルほどしか飛べなくなりました。
 
 私たちに馴染みの深い「鴨南ばん」や「鴨鍋」などの肉も、実は大半が食肉業界で「合鴨」と呼称されてきたアヒルの肉が使われています。本来「合鴨」とはマガモとアヒルをかけ合わせたもの。一般に「鴨肉」と総称される中身は、野生のカモから家畜化したアヒルまでさまざまです。
 その鴨肉のおいしさは、何といっても適度の脂肪とコクのある味わい。しかも肉自体はあっさりしています。これは他の獣肉では得られない特徴です。鴨特有の臭みが気になる場合がありますが、その鴨肉の中でも野生のカモに近いほど匂いが強く、家畜化されたアヒルはもっとも臭いの少ない鴨肉といえるでしょう。もちろん、「臭いのあるほうが、鴨らしくておいしい」と言う人も少なくいます。
 鴨肉の特徴は、牛,豚,鶏肉と比較すると体によいといわれる不飽和脂肪酸やミネラル、ビタミン類が豊富なことが分かっています。 脂肪酸とは脂質を構成する要素の一つで、牛肉、豚肉は飽和脂肪酸が多く、鴨肉は反対に不飽和脂肪酸を多量に含んでいます。
 飽和脂肪酸を過剰に摂ると血液中のコレステロールが上昇する傾向があり、生活習慣病の原因にもなりますが、鴨肉に多い不飽和脂肪酸は植物油に多く含まれているもので、常温で固まらず、血中コレステロール値を低下させる作用があると言われています。とかく悪者扱いの脂肪ですが、鴨肉の場合むしろ積極的に摂りたいぐらいです。
 また、不飽和脂肪酸を多く含むと融点が低く、鶏肉と同様に人の舌の温度で融け始めるので、加熱後、料理が冷めても美味しさが損なわれないと言う特徴もあります。
 こういうことを体で知っていて、昔から食養生の世界では、「鴨肉」は「滋養に富む」食材であるといわれてきたのですね。

 コタンで扱う「アヒル肉」は、岡山邑久町でアヒルを水田に放して無農薬のお米を作っている吉田さんとこのアヒルさん。滋養に富み、コクがあるのにあっさりしているアヒル肉。美味しくいただくための注意点。
                   「油をひかない」
牛や豚,鶏などと比べて、肉にも皮にも不飽和脂肪酸と呼ばれる良質の脂がたくさん含まれています。そのため、炒める場合に脂をひく必要はありません。
                
                「煮すぎない,焼きすぎない」
どんな肉も火を通しすぎると硬くなりますが、鴨肉の場合は特にその傾向があります。鍋に肉を入れたままグツグツ煮るのはよくないです。煮るにしろ焼くにしろ,火がとおったらすぐ食べる。これがおいしさのコツ。

 愛鳥的視点からなのか、これほど良質な家禽が普及していないのが不思議な家鴨肉。
   最後に韓国16世紀の李朝時代の名医・ホジュンが著した「東医宝鑑」より。
                     「野鴨肉」
性質が涼しく毒が無い。補中益気し胃気を均しくする。熱毒風と悪瘡を治療し腹の中の一切の虫を駆除する。陰暦九月以後立春以前に捕ったのが一層からだを補う。家鴨より効能がある野鴨は刀鴨と言い味が好く虚を補う。


        アヒル肉  100g 467円  一羽での販売となります。
                           一羽 3200円~ 大きさで異なります。

      10羽のみの限定販売です。コタン店内の冷凍庫で冷凍販売となります。